エクセルで青色申告をしよう(10) よくある疑問点や補足説明など

前回で青色申告に必要な決算書類の作り方の説明は、一通り終えました。

とはいえ、前回までの説明で、すべての仕訳を網羅したわけではありませんし、細かい点で気になるところが出てくるかもしれません。

そこで、この記事では、今回ご紹介した方法で決算書類を作成するなかで、疑問に思うであろう点について、補足説明を加えました。

1.仕訳関係

1.1 売掛金が振込手数料を引かれて振り込まれたときの仕訳    

例.売掛金1万円に対し、振込手数料432円を引かれた9,568円が振り込まれたとき

日付 摘要 借方科目 貸方科目 金額
1/31 ○○の件報酬 普通預金 売掛金 9,568
1/31 振込手数料 支払手数料 売掛金 432

1.2 預金に利息がついたときの仕訳    

例.利息4円がついたとき

日付 摘要 借方科目 貸方科目 金額
1/31 預金利息  普通預金  事業主借 

*預金利息は、事業による収入ではないので、プライベートのお金として事業主借で処理します。また、預金利息は、源泉分離課税であり、既に税金が引かれていますので、別途申告と納税をする必要がありません。

1.3 事業用のSuicaを作ったときの仕訳    

例.現金5,000円をチャージし、同日に3,000円を交通費に使ったとき

日付 摘要 借方科目 貸方科目 金額
1/31 Suicaにチャージ  仮払金  現金  5,000 
1/31 打ち合わせ  旅費交通費  仮払金  3,000 

*チャージした時点では、費用計上せず、仮払金(資産の勘定科目)としておき、実際にSuicaを使用したときに費用計上します。

1.4 プライベートのクレジットカードを使って、事業に必要なモノを買ったときの仕訳    

例.プライベートのクレジットカードを使って、事業用の参考書籍(3,000円)を買ったとき

日付 摘要 借方科目 貸方科目 金額
1/31 参考書籍購入  新聞図書費  事業主借  3,000 

2.経費関係

2.1 どこまでが経費として認められるのか?    

何が経費に該当するかの判断は結構難しいです。

抽象的には、事業による収入を得るために直接要した費用の額のことを言うわけですが、ある支出が経費にあたるか分からないときは、その都度、調べてもらうのが良いと思います。

ちなみに、フリーランスの場合、一つの支出がプライベートと業務の両方にかかわる場合(家賃、水道光熱費、インターネット料金など)がありますが、そのときは、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合に、その部分だけが経費に該当します。

詳しくは、国税庁のホームページ(やさしい必要経費の知識)をご覧ください。

2.2 領収書のない経費はどうやって証明するのか?    

冠婚葬祭の御祝、御霊前などは、領収書を受け取らないのが通常ですし、バスの代金など現金支払いで、領収書が出ないときもあります。

こういうときは、領収書の代わりに出金伝票を作ります。そして、出金伝票と一緒に、結婚式の招待状や告別式の御礼状などを保存しておくと良いそうです。

2.3 減価償却が必要なモノとは?    

パソコンや車など10万円以上の資産を購入したときは、原則として、一度に全額経費にすることができず、資産計上したうえで、数年にわたり分割して経費に計上していきます。

分割する年数(耐用年数)は、資産の種類ごとに決められています。また、毎年の償却費の額は同額になるよう計算するのが原則です(定額法)。

ただし、青色申告をしている個人については、青色申告決算書の中に記載することで、10万円以上30万円未満の資産について、年間合計300万円まで一度に経費にすることができます(小額減価償却資産の経費算入)。

詳しくは、国税庁のホームページ(減価償却のあらまし)をご覧ください。

3.エクセルでの帳簿類の作り方について

3.1 支出に対応する適切な勘定科目がないときはどうするか?    

事業によってはある支出が典型的な費用の勘定科目にあてはまらない場合もあると思います。

そういうときは、オリジナルの勘定科目を作りましょう(例.研修費、トーナメント費用)。

3.2 預金口座が複数ある場合、帳簿をどうやって作るか?    

例えばA銀行の普通預金口座とB銀行の普通預金口座がある場合、預金出納帳を「A銀行預金出納帳」と「B銀行預金出納帳」のように、二つ作ります。

その後、それぞれの預金出納帳から仕訳帳をつくりますが、勘定科目を「普通預金」でなく「A銀行普通預金」「B銀行普通預金」とします。また、各補助簿から作った仕訳帳を合算したときに、二重計上が生じないように注意することは現金出納帳等から仕訳帳を作るときと一緒です。

各仕訳帳を合算してから元帳を作るときも、「普通預金」という一個の勘定科目にまとめるのではなく、「A銀行普通預金」「B銀行普通預金」それぞれの元帳を作ります。

最後に、試算表の「その他の預金」に「A銀行普通預金」の元帳の残高と「B銀行普通預金」の元帳の残高を合計したものを入力します。

3.3 確定申告直前なのに何もやっていない。何から手をつければいいか?     

まず、お金の出入りに関する資料をまとめましょう。領収書は日付順にノートに貼り、預金通帳は記帳をし、クレジットカードを使っていれば利用明細を手元に用意し、売上に関する請求書、領収書の写しがあれば日付順に整理します。取引先から支払調書がきていれば、それも手元に用意します。Suicaを使っているけど、いつ使ったか覚えていないときは、券売機で直近50回分の履歴を発行できるので、それを見て確認します。

これらの資料をもとに、現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、経費帳を作ります。このどれにもあてはまらない取引がある時は特定取引仕訳帳に記録します。売上と費用を発生主義で考えることに注意しましょう。期中の発生主義での記録が難しいときは、期中現金主義、期末発生主義で記録します。

現金出納帳等が完成したら、あとはそれほど難しくないので、このブログでご説明したとおりに、進めていってください。

但し、あくまでも確定申告は自己責任でお願いします。

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