学生のアルバイトいくらまで稼いで大丈夫?(アルバイトにまつわる税金の話)

高校生や大学生になってアルバイトを始める人も多いと思います。働き過ぎて税金がかかったり、親の扶養がはずれたりしてビックリしないように覚えておきましょう。

いくら稼ぐと税金がかかるの?

税金は、所得税(国に納める税金)と住民税(都道府県・市区町村に納める税金)の2つがあります。それぞれ、税金のかかる収入額が違うので注意が必要です。

所得税が非課税になる金額は、給与収入で103万円(年間。1月1日~12月31日)です。ただし、社会保険料(雇用保険)が引かれている場合や、勤労学生控除の申告をした場合は、もう少し働いても所得税は非課税になります。※申告の仕方は後述

次に住民税が非課税になる金額です。住民税は住んでいる自治体によって非課税の基準が異なります。給与収入で、1級地(大都市)では100万円、2級地(中核都市)なら96万5千円、3級地(それ以外の市町村)は93万円です(18歳以上の場合。18歳未満の場合はいずれの級地でも204万4000円)。自分が住んでいる地域がどこに該当するかは自分の住んでいる役所に問い合わせるか、厚生労働省に掲載されている級地区分表で確認できます。

所得税が非課税になる金額よりも住民税が非課税になる金額の方が低いため、注意が必要です(例えば、給与収入が103万円の場合、所得税は非課税でも住民税は課税対象となります)。また、所得税は振り込まれた給与から引かれますが、住民税は翌年に税金の通知が届きます。

親の扶養に入っている場合はいくらまで働ける?

学生の方は親の扶養に入っていることが多いと思います。親の扶養に入れるのは、給与収入(アルバイト代)が103万円(年間)以下の方になります。

では、103万円を1円でも超えてしまうとどうなるか。簡単に言うと親の税金(所得税と住民税)が高くなります。

働いている人は毎年年末(11月頃〜)に年末調整で扶養の申告をしています。年末調整とは年間の所得税額を確定させる手続きのことです。自営業者は毎年自分で税務署に確定申告(自分の納める税金額等を申告すること)をする必要がありますが、会社員や公務員等の従業員は自分で確定申告をする必要がなく、年末調整により勤務先に色々と申告をすることで、勤務先がそれを取りまとめて税務署や市区町村に(従業員各自の)税金額等を申告してくれます。

ざっくりというと、税金とは「所得」に「税率」を掛けて課税額が算出され、「所得」とは「収入」から一定の控除額を差し引いた金額を言うのですが、親の扶養に入っている人(被扶養者=ここではアルバイトをする学生のうち給与収入が103万円以下の人)がいれば、以下の金額を「所得」から控除できるので、「所得」の金額が減り、その結果として納める税金の金額が安くなります。

被扶養者の年齢 所得税控除額 住民税控除額
16歳以上19歳未満 38万円 33万円
19歳以上23歳未満 63万円 45万円

 

このように被扶養者の有無により親の税金額が変わる(被扶養者がいると親の納める税金が安くなる)のです。そのため、年末調整の際にアルバイトでの収入額が103万円を超えていることを親に報告しておらず親が扶養として申告してしまうと、後から税務署や市区町村の税務課から「申告が誤っているので追加で税金を納めてください」と言われることになるので注意が必要です。

所得税は収入によりますが、おおよそ控除額の5%〜最大45%、住民税は控除額の10%程度税金が高くなります。所得税が10%だと仮定した場合、19歳以上23歳未満の人を扶養にとっていると所得税と住民税合わせて年間で10万円以上税金が安くなっていることになります。そうすると、親が自分の子どもを被扶養者であると思って年末調整をしていたが実際には違ったという場合、後からこの安くなっていた金額(10万円以上)を納める必要が出てくるのです。

大学生は時間もあっていっぱい働ける人もいるかもしれないですが、控除額も大きいので103万円を超えそうな場合は親ときちんと話し合いましょう。

あまり働いていないけどアルバイト収入は申告が必要?

給与収入で103万円以下の場合や超えていてもアルバイト先で年末調整をしている場合は申告の必要はありません。ただし、103万円以下でも「給与所得の源泉徴収票」の「源泉徴収税額」の欄に金額が記載されている場合は所得税を払っていることになるので、確定申告をするとその金額の還付を受けることができます。

年間103万円を超えて稼いだ場合は、確定申告・年末調整をすると所得税や住民税が安くなることも

103万円を超えている人で学生の人は確定申告や年末調整で勤労学生控除を申告すると、「所得」の金額を減らせるので所得税や住民税が安くなります。

また、住民税は均等割と所得割と言うものがあり、100万円を超えると住民税の所得割がかかります。これは控除を追加することで安くすることができるので、100万円を超えている場合は住んでいる市区町村で住民税申告をすると住民税が安くなります。※確定申告や年末調整をした人は自動で住民税申告をしたことになるのでそれぞれ申告をする必要はありません。

アルバイト先からもらう「給与所得の源泉徴収票」は5年間は保管しておく

最後に、アルバイト先からもらう「給与所得の源泉徴収票」は、自分のその年の収入を証明する書類になります。

被扶養者の範囲内の収入であることを証明する書類になりますし、そのほかにも自分の収入を証明する必要がある場面が出てくるかもしれませんので、少なくとも5年間(確定申告の内容を訂正できる期間)は保管しておくと良いでしょう。

≪修正履歴≫

・住民税の非課税金額を修正しました(2023年12月31日修正)。

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