早わかり!!積立NISAの概要・メリット・デメリット

この記事では積立NISAについて、制度の概要、メリット、デメリットを解説しています。積立NISAは、長期間の積立ができる若い世代の方に有利な制度ですので、20代、30代の方には、是非利用していただきたいと思います。

1.積立NISAとは

積立NISAは、他のNISA同様、投資による運用益が非課税になる制度ですが、特に少額からの長期の積立、分散投資を支援するために作られた制度です。

2.積立NISAの概要

積立NISAの概要
利用できる方 日本在住の20歳以上の方
開設できる口座数 1人1口座
非課税対象の金融商品 長期の積立、分散投資に適した投資信託
非課税投資枠(年間) 40万円
非課税期間 最長20年間
投資可能期間 2018年~2037年
課税口座との損益通算 不可
損失の繰越控除 不可
一般NISAとの併用 不可
その他 買付の方法が積立に限定されている。

2.1 利用できる人     

積立NISAを利用できるのは、日本に住んでいる20歳以上の人です。

年齢の基準日は、口座を開設する年の1月1日現在です。

2.2 開設できる口座数     

開設できる積立NISAの口座数は、1人1口座です。

また、NISA(一般NISA)との併用はできないので注意が必要です(但し、1年ごとにNISAと積立NISAを変更することは可能です。)。

2.3 非課税対象の金融商品     

非課税対象の商品は、一部の投資信託(ETF含む)だけです。個別の会社の株式などは買えません。

また、ここにいう、一部の投資信託とは、法令の基準に従い、長期の積立、分散投資に適すると認められたものをいいます。

そのため、例えば、投資信託の中でも、毎月分配型のものは長期の資産形成に適していないため、積立NISA口座で買うことはできません。

投資信託の中には、たいしたパフォーマンスも出ていないのに、手数料がやたらと高いものや、リスクの高い商品に投資する投資信託もありますが、投資信託は、世の中に何千本とあるので、一つ一つの投資信託の中身を検討して、優良か不良かを判断するのは大変です。

しかし、積立NISA口座では、長期の積立に向いていない投資信託は購入対象に含まれていませんので、安心して積立投資を始めることができます。

なお、積立NISAでは、買付の方法が、「積立投資」(毎月定額を購入する買付方法など)に限定されています。

2.4 非課税投資枠(年間)     

積立NISAの非課税投資枠は、年間40万円です。

非課税投資枠は、その年限定のものであり、翌年に持ち越すことはできません。

また、「使い切り」ですので、40万円の枠の範囲なら何回でも売買できるというわけではありません。

NISAの非課税投資枠が年間120万円なのに対し、積立NISAは年間40万円と少し物足りない印象もあるかもしれませんが、枠が大きいと、「もったいないから使い切ろう」と考えて、悪いタイミングで買ってしまい、失敗してしまう人も出てくるでしょうから(私も失敗したことがあります。)、少し物足りないぐらいが丁度いいのかもしれません。

年間40万円ということは、毎月の積立額は3万円程度ですので、リスクも少なく、無理のない投資を始めやすいと思います。

なお、ここにいう40万円という枠は、「買ったときの金額」を基準としますので、買った後に値上がりしても、値上がり分が枠を消費することはありません。

2.5 非課税期間    

積立NISAの非課税期間(投資信託の売買による売却益や配当金などが非課税となる期間)は、20年間です。

NISAの非課税期間は5年ですので、積立NISAの非課税期間は、NISAの4倍もの長さです。この点は、非常に大きな魅力であり、投資可能期間も20年であることから、積立NISAで20年間積立投資をすれば、ほぼノーリスクで利益を得られ、しかも、全額非課税という大きなメリットが得られるのです。この点は、次の「3.積立NISAのメリット」で詳しく述べたいと思います。

なお、非課税期間終了後は、課税口座へ時価で払い出され、その後の値上がりによる売却益や配当には課税されます。

2.6 投資可能期間     

積立NISAの投資可能期間(毎年、非課税投資枠が発生する期間)は、2018年から2037年までの20年間です。

非課税期間も20年間ですので、2018年に積立NISAを始めて、2037年までの20年間、積立を続ければ、その間に利益が出ても、全て非課税で受け取れます。

投資可能期間経過後は、積立NISA口座内での積立はストップし、今度は、課税口座内で新たに積立を始めることになりますが、個人的には、2037年までと言わず、積立NISAには恒久的な制度になって欲しいと思っています。

なお、投資可能期間終了前(2037年12月31日前)に非課税枠を使って購入した投資信託については、投資可能期間終了後も、20年間の非課税期間終了まで(例えば、2019年の非課税枠を使った場合は、2038年12月31日まで)、非課税で運用することができます。

2.7 積立NISAのイメージ     

3.積立NISAのメリット

3.1 ほぼノーリスクで効率よく資産を増やすことが可能     

3.1.1 積立投資でリスクを最小限に

積立NISAの最大のメリットは、非課税の恩恵を受けながら、20年という長期の積立投資が可能な点です。

というのも、20年間、毎月定額の投資信託を購入する積立投資を続ければ、ほぼノーリスクで利益を得られるのです。

なぜ、ほぼノーリスクと言えるのかというと、「時間を分散して買うことで、平均的な購入単価を安くできるから」です。

投資信託の価格は、「基準価額」と呼ばれ、通常、「1万口当たり」の価格が示されています。この基準価額は、株価と同様、日々変動し、高い時もあれば、低い時もあります。うまく低い時に買って、高い時に売れれば、もうけが出るのですが、今が低い時なのか高い時なのかの見極めは非常に難しいものです。

しかし、毎月定額の投資信託を購入すれば、基準価額が高い時には、少ない口数を購入し、反対に、低い時には、多くの口数を購入することになるので、一度にまとめて買うよりも、お得に買うことができるのです。

具体的に見てみましょう。

上の図のように基準価額が変動するA投資信託があるとします。A投資信託を8万円分購入するとして、特定の日に8万円分購入する場合と、毎月2万円ずつ購入する場合を比べてみましょう。

上の表を見ると、1番多くの口数を購入できたのは、2018.5.1に8万円分を買った場合(パターン②)で、2番目に多くの口数を購入できたのは、毎月2万円ずつ買った場合(パターン⑤)であることが分かります。

逆に、最も少ない口数しか購入できなかったのは、2018.6.1に買った場合(パターン③)で、いわゆる「高値掴み」をしてしまったわけですね。

まとめて買う方法は、安い時(2018.5.1パターン②)にうまく買えればいいのですが、基準価額が下がっている時にまとめて買うのはかなり勇気がいります。むしろ、基準価額が上がった時(2018.6.1パターン③)の方が、「ここからもっと上がるんじゃないか」という思いから、ついつい買ってしまいがちです。しかし、得てしてそういう場合は「高値掴み」をしてしまって、損をしてしまうのです。しかも、特定の日に狙いを絞って買うためには、事前に基準価額をチェックして、「買い時」を探る必要がありますが、日々の生活が忙しいと、そんなチェックをしている暇はないと思います。

毎月分散して購入する積立投資であれば、高値掴みをするおそれもありませんし、毎月何日にいくら購入するかを設定しておけば、あとは放置しとけばいいので、日々、基準価額をチェックする必要もありません。それでいて、下手にまとめ買いをするよりも、効率の良い買い方で、トータルでは多くの口数を購入できるという、忙しい方にピッタリの購入法なのです。

3.1.2 積立投資の威力

しかも、積立投資の利点は、それだけではありません。

先程のA投資信託の基準価額は、2018.4.1の1万円から2018.7.1の8000円まで下がってしまっています。いくら毎月分散して買っても、基準価額が下がったら、損になるから嫌だと思う人もいるかもしれません。

しかし、そうではないのです。

積立投資をした場合(パターン⑤)に保有するA投資信託の2018.7.1時点での評価額を見てみましょう。評価額は、保有する口数(10万7500口)に2018.7.1時点での基準価額(1万口当たり8000円)を掛けることで求めることができます。

≪保有するA投資信託の評価額の計算(2018.7.1時点)≫

10万7500口×8000円/1万口=8万6000円

何と、基準価額は下がっているのに、保有するA投資信託の評価額は、購入金額(8万円)よりも高いのです。

これが、積立投資の威力であり、安い時には多くの口数を購入し、高い時には購入する口数を抑えることで、結果的に、基準価額が値下がりしても、もうけを出すことが可能なのです。

3.1.3 過去の統計に基づく積立投資の結果

A投資信託は仮想のものですから、「実際は、そんなにうまくいかないんでしょ」と思う人もいるかもしれません。

では、過去の株式市場の値動きを実際に見てみましょう。

Yahoo! FINANCE – Dow Jones Industrial Averageのデータを使用して作成したグラフ

上のグラフは、ダウ平均株価(ダウ工業株30種平均)の1985年から2017年までの各年の最終取引日の終値の推移を示したものです。ダウ平均株価とは、アメリカを代表する30社の株価指数であり、特定の会社の株価ではありません。

上の図を見ても分かる通り、ダウ平均株価は、右肩上がりで推移しています。ところどころ落ち込むところはありますが、ダウ平均株価に連動する投資信託を長期に買い続ければ、利益が出ることは一目瞭然です。

続いて日本の代表的な株価指数である日経平均株価の推移を見てみましょう。

https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/dataのデータを使用して作成したグラフ

こちらは、日経平均株価の1949年から2017年までの各年の最終取引日の終値の推移を示したものです。日経平均株価とは、日本を代表する225社の株価指数のことです。ダウ平均株価と違い、右肩上がりというわけではありませんが、仮に、バブルのピークである1989年末以降に「日経平均」という銘柄があると仮定して、毎月1万円ずつ積立投資をした場合には、2013年11月22日の時点で、保有する資産の評価額が、累積積立金額を上回るとの調査結果が出ています(2013年11月25日日本経済新聞「日本株、バブル後の積み立て投資がついにプラス転換」)。

2013年以降も日経平均株価は上がっているので、毎月1万円の積立投資を続けていれば、2018年現在では、更に利益が出ているわけです(日経平均という銘柄はないので、実際には、日経平均に連動する投資信託を購入することになります。)。

このように、日本のバブルのピークという最も悪い時期に投資を始めても、利益を出せるのが積立投資のすごいところなのです。

金融庁のホームページにも資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績が載っていますが、それを見ても分かるように、20年間、投資先の資産、地域を分散して積立投資を行った場合、元本割れをする可能性はほぼなく、むしろ、平均して2%~6%の利回り(年率)を得ることが可能なのです。

20年間積立投資をするというのがポイントで、一般NISAの非課税期間である5年間の積立投資では、元本割れをするリスクがあるのです(先ほどの金融庁のホームページ参照)。そのため、仮に、途中で元本割れをした場合でも、20年間積立を続けることが重要なのです。

3.1.4 積立投資のシミュレーション

例えば、ある投資信託を毎月3万円分ずつ購入し、これを20年間続けた場合に、年平均3%の利回りを達成できたと仮定して、投資元本がどれだけ増えるか試算をしてみましょう。

なんと、元本720万円が、984万9060円まで増えるのです(金融庁のホームページでシミュレーションをすることができます。)。

この値上がり分である264万9060円には、本来、20%の税金がかかり、50万円近くが国に持っていかれるのですが、積立NISAを使うことで、値上がり分を全額手に入れることができるのです。

3.1.5 積立NISAならほぼノーリスクで資産形成可能

まとめると、過去の統計からみても、非課税期間が20年間である積立NISAなら、ほぼノーリスクで資産を増やすことができ、しかも、利益は非課税ですから、積立NISAは、まさに長期の資産形成に適したメリットの大きい制度と言えるのです。

なお、積立投資は、短期的には元本割れをする可能性がありますが、そこで積立をやめてはいけません。積立投資は、複数の時点で購入することで、平均的な購入単価を下げる投資法ですから、途中で積立をやめてしまうと、積立の効果が薄れてしまいます。リターンを得るためには、一度積立を始めたら、途中で元本割れとなっても、20年間続けることが重要なのです。

3.2 金融商品選びに失敗する心配がないこと     

資産運用で難しいのは、銘柄選びです。投資信託もたくさんの種類があるので、投資初心者の方などは、どれを買ったらいいのか分からないと思います。投資信託の中には、販売手数料や信託報酬といったコストが高い割に、リターンが低いものもありますので、下手な投資信託を買ってしまうと、資産を増やすどころか減らすことになってしまいます。

この点、積立NISAでは、購入できる金融商品が、長期の積立、分散投資に適したものに限られているので、投資初心者でも、不良な投資信託を買ってしまう心配はありません。

もちろん、積立NISAで買える投資信託にも、日本株を中心に投資する投資信託や、外国株を中心に投資する投資信託といった、いくつかの種類があるので、多少は迷うかもしれませんが、少なくとも選んで失敗という投資信託はないので、安心して選んでください。

ちなみに、私は、「ニッセイ日経平均インデックスファンド」と「ニッセイ外国株式インデックスファンド」を半々で積み立てています。

4.積立NISAのデメリット

ほとんど考えつきませんが、強いてデメリットをあげるならば、積立NISAを選ぶと、一般NISAを使うことができなくなる点でしょうか(NISAと積立NISAの併用はできません。)。

なお、積立NISAでも他のNISA同様、課税口座との損益通算ができない、損失の繰越控除ができない、といったデメリットはあります(詳しくは、NISAに関するこちらの記事をご覧ください。)。

しかし、これらは、積立NISAで損失が出た場合に始めて顕在化するデメリットであって、これまで述べたように、20年間積立投資をしていれば、損失が出る可能性はまずないので、これらを心配する必要はないと思います。

5.積立NISAまとめ

5.1 メリット・デメリットまとめ     

(メリット)

○ ほぼノーリスクで効率よく資産を増やすことが可能

○ 金融商品選びに失敗するおそれがない

(デメリット)

○ 一般NISAが使えなくなる

5.2 積立NISAは絶対おすすめ!!     

何度も繰り返しますが、投資初心者の方には、積立NISAが絶対におすすめです。年間40万円という無理のない範囲で、ほぼノーリスクでのリターンを期待でき、節税効果も得られる積立NISAは、投資初心者の方にうってつけです。

また、20年間積立投資をするためには、積立投資に充てる収入が必要です。この点、これから長く仕事ができる若い世代の方であれば、無理なく積立投資を続けられると思いますので、積立NISAは、特に若い世代の方におすすめです。

投資経験者の方についても、NISA(一般NISA)は、保有する金融商品の評価額が値上がりした場合には、非課税の恩恵が受けられていいのですが、元本割れをした場合には、課税口座と損益通算ができない、損失の繰越控除ができない、といったデメリットが顕在化しますので、リスクのあるNISAよりも、ほぼリスクのない積立NISAの方が個人的には良いと思います。

まだ積立NISAを始めていない方は、これを機に是非始めていただきたいと思います。

<参考にした文献、サイト等>

金融庁のホームページ

<2020年8月追記>

下記の記事を書きましたので、よろしければ参考までにご覧ください(下記をクリックするとリンク先に飛びます)。

・つみたてNISA(積立NISA)の運用成績(2年7か月経過時点)

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