エクセルで青色申告をしよう(2) 確定申告に関する知識を身につける

確定申告の準備を始める前に、確定申告に関する知識を身につけましょう。

帳簿の作り方だけを知りたい方は、読み飛ばしていただいても結構ですが、基本的な知識のおさらいにもなりますので、是非ご一読下さい。

【令和2年(2020年)7月更新】

令和2年分(2020年分)の所得税確定申告から青色申告特別控除額が変更となりましたので、記載を一部修正しました。

1.確定申告とは

仕事をして収入を得ると、収入から経費を引いた所得(儲け)に所得税、復興特別所得税がかかります。

この所得税ですが、日本では、個人個人が、毎年、一年間(1月1日~12月31日)の所得と自らが納めるべき税金を計算して、毎年3月15日までに税務署に申告することになっています。

この申告方式を「申告納税制度」といい、この申告手続を、確定申告と言います。

もっとも、建前は申告納税制度でも、会社勤めの方などは、源泉徴収制度(所得の支払者が所得税を徴収して納付する制度)と年末調整(源泉徴収された税金の過不足の精算)により、完全に正確な税金が徴収されるので、給与以外の一定額の所得を得た場合など特別な場合を除いて、確定申告をする必要はありません(注1)。

ところが、フリーランスの方の場合、必ずしも全ての所得が源泉徴収されるわけではなく、年末調整の手続もありませんので、自分で所得と納税額を計算し、確定申告書類を作成して、確定申告をしなければならないのです。

また、会社勤めの方でも、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計が20万円を超えている方は、確定申告が必要です(注2)。

2.青色申告と白色申告

確定申告が必要な方は、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に記録し、取引に伴い作成したり、受領した書類(請求書、領収書など)を一定期間保存しておく必要があります。

このとき、事業所得の金額が正確に計算できるように、すべての取引を、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳をし、その記帳に基づいて貸借対照表、損益計算書を作成して、正しい申告をする方については、税金面で有利な取り扱いが受けられる青色申告という制度があります(注3)。

また、青色申告のほかに、白色申告と言って、簡易な方法により記帳をし、確定申告をする方法もあります。

ただし、白色申告の場合でも、記帳義務や記録の保存義務がありますので(注4)、せっかく帳簿を作って確定申告をするのであれば、複式簿記により帳簿を作って、青色申告をする方がおすすめです。

3.青色申告のメリット

青色申告をすると税金面でさまざまなメリットがあります(注5)。

主なメリットは次のとおりです。

① 青色申告特別控除

青色申告をするとそれだけで最大65万円が所得金額から控除されます。

② 青色事業専従者給与

事業の手伝いをしている家族に支払った給与を、一定の範囲で必要経費に算入できます。

③ 純損失の繰越控除

赤字が出た場合、以後3年間にわたって、別の年の所得金額から控除できます。

④ 小額減価償却資産の取得費必要経費算入(注6)

30万円未満の資産購入費を一括で費用計上できます。

4.所得税の計算

4.1 計算方法    

所得税は、次のように計算されます(注7、注8)。

*ここでは、収入がフリーランスとしての売上(事業所得)のみの場合の計算方法を紹介します。

① 収入(売上)から費用(経費)を差し引いた所得の金額を計算する。

  収入-費用=所得

② 所得の金額から所得控除の金額を差し引いた課税所得の金額を計算する。

  所得-所得控除=課税所得

③ 課税所得に税率を掛けて所得税の金額を計算する。

 課税所得×税率=所得税の金額

なお、一定の寄付金を支払った場合などは、③の所得税の金額から更に一定額が控除されます。これを税額控除といいます(注9)。

4.2 収入(売上)と費用(経費)    

事業所得を計算する上での収入(売上)とは、仕事の対価としての報酬のことをいいます。

フリーランスの方の場合、所得のほとんどは事業所得に該当すると思います。

また、費用(経費)とは、収入を得るために直接必要な費用のことをいい、例えば、売上原価(仕入費用など)、交通費、通信費、交際費などのことをいいます。

売上と費用の計上時期については、現実にお金を受け取ったときに売上計上し、お金を支払ったときに費用計上する方法(現金主義)と、売上や費用を発生させる経済的事象が生じたときに計上する方法(発生主義)があります。

発生主義による計上時期を具体的に言うと、売上については、仕事を完成したとき、サービスの提供を終えたときに計上します(例.原稿を納品したときに売上計上する)。

費用については、この反対で、サービスの提供を受けたときなどに計上します(例.12月の電話料金の支払は翌月でも12月の費用として計上する)。

このように、発生主義だと、現金の動きがないため、いつ売上と費用が発生したか掴みづらく、経理の手間が大変です。

そこで、「期中現金主義」「期末発生主義」といって、期中の取引は現金主義で記録し、支払時期が年を超える分だけ発生主義で記録する方法もあります(注10)。

この方法なら、普段は現金主義で記録できるので、手間がかかりませんし、年間を通せば、発生主義の記帳ができます。

もっとも、個人的には、あまりこの方法は好みではなく、期中もできるだけ発生主義で記帳するようにしています。

というのも、例えば、クレジットカードで買い物をした場合、期中現金主義だと、カード代金の引き落としがあったときに費用計上するのですが、商品を買って手元にあるのに引き落としがあるまで費用計上しないというのが、どうにも気持ち悪いからです。

これは好みの問題ですので、期中現金主義、期末発生主義で帳簿をつけても大丈夫です。

4.3 所得控除    

所得控除とは、納税者ひとりひとりの事情に応じて、所得税算定のもとになる課税所得の金額を減額する制度です。

所得控除には、一定の収入以下の配偶者がいる場合の配偶者控除、社会保険料(年金、健康保険料)を支払っている場合の社会保険料控除、生命保険に加入している場合の生命保険料控除などがあります(注11)。

4.4 税率    

所得税の税率は、課税される所得の金額に応じて変わってきます。

以下の速算表を利用すると、簡単に計算することができます(注12)。

(平成27年分以降)

課税所得の金額  税率 控除額
195万円以下 5% 0
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000
900万円を超え 1,800万円以下  33% 1,536,000
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000
4,000万円超 45% 4,796,000

例えば、課税される所得の金額(課税所得)が、700万円の場合の所得税の金額は次のようになります。

700万円×0.23-63万6000円=97万4000円

所得税の税率は上記のとおりですが、国税庁の確定申告書作成コーナーを利用して確定申告書を作成すれば、自動的に計算してくれますので、実際には、自分で税率をかけて計算する必要はありません。

5.単式簿記と複式簿記

帳簿の記録の仕方には、単式簿記と複式簿記があります。

単式簿記とは、一つの財産の増減(これを「取引」といいます)を一つの視点から記録する方法で、複式簿記とは、一つの取引を二つの視点から記録する方法です。

例えば、原稿の執筆料として10万円が預金口座に振り込まれたとします。

この取引を、単式簿記では、「売上が10万円あがった」とだけ帳簿に記載します(売上がいくらあがったかという視点だけで記録する)が、複式簿記では、「売上が10万円あがった」それにより「預金が10万円増えた」という風に、二つの視点(売上がいくらあがったかという視点と、それにより預金がいくら増えたかという視点)から見た結果を帳簿に記録します。

【単式簿記の例】

(売上帳)

日付 摘要 金額
4/1 A社○○の件の報酬 100,000

【複式簿記の例】

(仕訳帳)

日付 摘要 借方 貸方 金額
4/1 A社○○の件の報酬 普通預金  売上高  100,000

*借方、貸方については、エクセルで青色申告をしよう(4)で詳しく説明します。とりあえずは、借方に普通預金を記載することは「普通預金(残高)の増加」を意味し、貸方に売上高を記載することは「売上があがったこと」を意味すると理解して下さい。

では、単式簿記と複式簿記では、帳簿の付け方が違うことは分かりましたが、それによって、何が変わってくるのでしょうか。

先ほどの例で説明しますと、単式簿記の場合、「売上が10万円あがった」と帳簿に書くだけですので、10万円を現金でもらったのか振込でもらったのかは帳簿から分かりません。そのため、本当の売り上げ(振り込まれた金額)が20万円なのに、10万円と偽って申告するのも難しくありません。

他方、複式簿記の場合、帳簿には「売上が10万円あがった」ことと、それにより「預金が10万円増加した」ことという2つの情報をコインの表裏のように記録しなければならないため(コインの表と裏は金額が一緒)、表面である売上を偽ろうとすると、裏面である預金も偽らなければならず、細工が難しくなります。帳簿に記録された預金の金額と売上の金額に不一致があると、売上を偽っていることがすぐにばれてしまいますし、この不一致を取り繕おうとして嘘に嘘を重ねたとしても、どこかで不自然が生じてばれてしまうでしょう。

このように、複式簿記の方が、申告者にとっては細工がしづらく、税務署にとってはチェックがしやすいので、複式簿記で帳簿を作成した人(青色申告者)には、税金が安くなるという特典が用意されているわけです。

複式簿記での帳簿の付け方は、エクセルで青色申告をしよう(4)で詳しく紹介していますので、そちらをご覧下さい。

6.青色申告をするために必要なこと

6.1 青色申告承認申請書を提出する    

青色申告をするためには、事前に、納税地の所轄税務署に青色申告承認申請書を提出しなければなりません(こちらの国税庁のホームページから書式をダウンロードできます)。

この青色申告承認申請書には提出期限がありますので注意が必要です。

〇 1月15日までに業務を開始した場合 ・・・ 3月15日まで

〇 1月16日以降に業務を開始した場合 ・・・ 業務を開始した日から2か月以内

フリーランスとして仕事を始める方は、税務署に開業届を提出することになりますが、一緒に、青色申告承認申請書も提出するのが良いでしょう。

ちなみに、青色申告承認申請書を提出した場合でも、青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに取りやめ手続をすれば、白色申告をすることが可能です(注13)。

この取りやめ手続をする期限は、申告、納税期限と同じですので、青色申告にしようか悩んでいる方は、とりあえず青色申告承認申請書を出しておいて、後から青色申告は難しいと思ったときに、白色申告に切り替えれば良いと思います。

6.2 複式簿記により帳簿を作成する    

青色申告をするためには、原則として正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により帳簿を作成しなければなりません。

帳簿には、必ず作らなければならない主要簿と、主張簿を補うため必要に応じて作成する補助簿があります。

【主要簿】

仕訳帳、総勘定元帳

【補助簿】

① 補助記入帳

現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、売上帳、仕入帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳等

② 補助元帳

商品有高帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産税台帳等

6.3 貸借対照表と損益計算書を作成する    

複式簿記により帳簿を作成したら、それをもとに、貸借対照表と損益計算書を作成します。

6.3.1 貸借対照表

貸借対照表(P/L)とは、ある一時点における資産状況を表にしたものです。

表の右側(負債・資本の部)に、資金の入手先(借入金なのか、出資金なのか、利益の積立なのか等)を記載し、表の左側(資産の部)に、入手した資金が現在どういう資産になっているのか(現金なのか、預金なのか、不動産なのか、売掛債権なのか等)を記載するイメージです。

また、複式簿記では、表の左側を借方(かりかた)と呼び、右側を貸方(かしかた)と呼びます。かりかたの「り」が左払いなので左側が借方、かしかたの「し」が右払いなので右側が「貸方」と覚えておくと、後から簡単に思い出せます。

(貸借対照表のイメージ)

資産 負債
資本

6.3.2 損益計算書

損益計算書(B/S)とは、一年間の事業の収支を表にしたものです。

(損益計算書のイメージ)

費用 収益

損益計算書についても、左側を借方、右側を貸方と呼びます。

6.4 貸借対照表と損益計算書を添付して確定申告する    

貸借対照表と損益計算書を作成し、それを確定申告書に添付して、法定の申告、納税期限内(3月15日まで)に提出、納税を済ませることで、青色申告は完了です。

こうして、青色申告をすることで、最大65万円の青色申告特別控除を始めとした、様々な特典を受けることができます。

6.5 令和2年分の確定申告からは、65万円の控除を受けるための要件が追加

令和2年分(2020年分)の確定申告からは、65万円の青色申告特別控除を受けるための要件が変わりました。

具体的には、令和元年分(2019年分)の確定申告までは、これまでに述べた、①正規の簿記の原則(複式簿記)で記帳すること、②①の記帳に基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること、③法定申告期限内に申告することの3つが、65万円の青色申告特別控除の要件でした(これらの要件を満たさない青色申告は、10万円の青色申告特別控除でした)。

しかし、令和2年分(2020年分)の確定申告からは、上記①~③に加えて、④(a)その年分の所得税の確定申告書及び青色申告決算書の提出を、e-Tax(電子申告)により行うこと、または④(b)その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存をすることが、65万円の青色申告特別控除の要件になりました(注16)。

上記④(a)または④(b)の要件を満たさない青色申告(例えば、紙ベースで税務署に提出する方法)については、青色申告特別控除額は55万円(従来の65万円から10万円減額)になるため注意が必要です。

【青色申告特別控除の金額と要件】

1.65万円の青色申告特別控除

以下の①~④の要件を満たすこと

① 正規の簿記の原則(複式簿記)で記帳すること

② ①の記帳に基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すること

③ 法定申告期限内に申告すること

④ (a)その年分の所得税の確定申告書及び青色申告決算書の提出を、e-Tax(電子申告)により行うこと、または、(b)その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存をすること

2.55万円の青色申告特別控除

上記1.の①~③の要件を満たすこと

*例えば、①~③の要件を満たしたうえで、e-Taxではなく、紙ベースで税務署に確定申告書を郵送して、申告をする場合。

3.10万円の青色申告特別控除

上記1.または上記2.の要件を満たさない青色申告

*例えば、正規の簿記の原則による記帳でなく、簡易な帳簿による記帳であっても、一定の要件のもとで、10万円の青色申告特別控除を受けることができます。

6.5.1 eーTax(電子申告)による方法

e-Tax(電子申告)には、(1)マイナンバーカード方式と(2)ID・パスワード方式があります(注17)。(1)マイナンバーカード方式の場合、あらかじめマイナンバーカードを取得し、マイナンバーカードの読み取りに対応したICカードリライタまたはスマートフォン(iPhoneの場合、iPhone7以降の機種)を用意する必要があります。また、(2)ID・パスワード方式の場合、あらかじめ税務署等で対面での本人確認を行い、利用者識別番号(ID)と暗証番号(パスワード)を発行してもらう必要があります。

なお、ID・パスワード方式は、マイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応のようなので、将来的にはマイナンバーカード方式のみになる可能性があります。

6.5.2 電子帳簿保存による方法

電子帳簿保存は、一定の要件のもとで帳簿を電子データのまま保存できる制度です。電子帳簿保存をするためには、帳簿の備え付けを開始する日の3か月前の日までに申請書を税務署に提出し、税務署長の承認を受ける必要があります。

原則として、課税期間の途中から変更することはできませんが、令和2年分に限っては、令和2年9月30日までに承認申請書を提出し、同年中に税務署長の承認を受けて、令和2年12月31日までの間に、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備付及び保存を行うことで、65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。

6.5.3 eーTaxと電子帳簿保存のどちらが簡単か

電子帳簿保存の適用を受けるには、以下のような要件を満たす必要があります(注18)。

・記録事項の訂正・削除を行った場合の事実内容を確認できること

・通常の業務処理期間を経過した後の入力履歴を確認できること

・電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること

市販の会計ソフトを利用しなければ、これらの要件を満たすのは困難ですので、エクセルで青色申告に必要な書類を作ろうとして、このページを見られている方には合わないかと思います。

一方で、e-Taxについては、私も令和元年分(2019年分)の確定申告に使用しましたが、思いのほか簡単でした。私は、マイナンバーカードを持っていないので、その前年に確定申告会場で発行してもらったID・パスワードを利用したのですが、ID・パスワードは、運転免許証等の本人確認書類を持って行けば、その場で対面での本人確認の後、即日発行されたので(10分もかからなかったと思います)、必要な準備(ID・パスワードの用意)も割と簡単だと思います。もちろん、マイナンバーカードをすでに持っており、最新のスマートフォンを利用されている方は、税務署に行く必要もないので、より簡便だと思います。これまでe-Taxを利用せず、紙ベースで書類を提出されていた方は、65万円の青色申告特別控除を受けるために、是非、e-Taxに挑戦してみてください。

7.確定申告のときに税務署に提出する書類

フリーランスの方が、確定申告(青色申告)をするときに、税務署に提出する一般的な書類は、次の通りです。なお、e-Tax(電子申告)の場合、所得控除を証明する書類等、一部の書類の提出が省略されます。

① 確定申告書B(第一表、第二表)

② 青色申告決算書

③ 所得控除を証明する書類等

④ その他の必要書類

確定申告書にはAとBの様式がありますが、確定申告書Aは、申告する所得が給与所得や公的年金等の所得のみの方が使用できる簡便的様式です。

一方、確定申告書Bは、所得の種類にかかわらず、誰でも使用できる様式です。

フリーランスの方は、確定申告書Bを使用して確定申告をしなければなりませんので、間違えないようにしましょう。

また、社会保険料控除、生命保険料控除等の所得控除を受けるためには、それを証明する書類を提出することが必要です。

例えば、国民年金保険料の掛金について社会保険料控除を受ける場合は、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」等が必要になります。この証明書は、年一回、住所地に送られてくるはずですので、送られてきたら、失くさないよう気をつけましょう。

所得控除の証明書類について、詳しくは、最新版の「所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書B用)」をご覧下さい。

8.書類の保管期限

作成した帳簿や領収証等は、一定期間保存する必要があります(注14)。

8.1 青色申告の場合    

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産税台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 原則7年
その他の書類 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など 5年

8.2 白色申告の場合    

保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) 5年
書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 5年

9.他の税金について

フリーランスの方が納めなければいけない税金は、所得税だけではありません。

住民税や個人事業税も納めなければなりませんが(ただし、個人事業税は事業所得が290万円以上の場合に納税義務が発生します)、これらについては、申告は必要ないのでしょうか。

答えは必要ありません。

確定申告書を提出すると、その情報が各市区町村や都道府県にもまわります。しばらくして、住民税や個人事業税の納税額が通知されますので、待っていれば大丈夫です。

また、消費税については、本来は、フリーランスの方も、事業による報酬を請求する際に、消費税を加算して請求し、毎年、受け取った消費税を納税することになるのですが、原則として、前々年の売上が1,000万円以下の個人事業者については、受け取った消費税の納付義務が免除されています(なお、この場合も消費税を請求すること自体は可能です)(注15)。

《国税庁等の関連ページ、参考文献》

注1 税務執行のあらまし

注2 給与所得者で確定申告が必要な人

注3 青色申告制度

注4 白色申告者の記帳・記録保存制度

注5 注3参照

注6 減価償却のあらまし

注7 総合課税制度

注8 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

注9 税額控除

注10 和田茂夫著・久保豊子監修「フリーランス&個人事業主いちばんラクする!経理のさばき方」(2017・株式会社技術評論社)p.52

注11 所得控除のあらまし

注12 所得税の税率

注13 所得税の青色申告の取りやめ手続

注14 記帳や帳簿等保存・青色申告

注15 納税義務の免除

注16 青色申告特別控除

注17 e-Tax利用の簡便化の概要について

注18 「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」2頁

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