WealthNaviを6か月利用した運用成績(指数連動投資信託の積立との比較)

WealthNaviというものをご存じでしょうか。

SBI証券などと提携しているロボアドバイサーで、最初に自分のリスク許容度を設定したうえで、一定額以上のお金を預けると、AIが自動的に投資信託を売買してくれるというサービスです。

私は、AIによる資産運用に興味があったので、平成29年10月30日からWealthNaviの利用を始めました。運用額は、初期入金額102万円+毎月1万円の積立金です。

このほど、運用開始から半年ほどが経ったので、運用成績とこれからWealthNaviを利用される方が注意した方が良いと思ったことを書きたいと思います。

また、平成29年11月からは、日経平均連動の投資信託とMSCIコクサイ連動の投資信託の積立を始めたので、単純に指数連動投資信託の積立をした場合との比較もしたいと思います。

なお、WealthNaviは、10年、20年という長期間の投資を推奨しているため、わずか6か月で運用成績を語るのは早計だということは承知していますが、10年、20年利用するに足る価値を提供するサービスであるかを判断するための一つの分析結果としてお読みいただければと思います。

1.WealthNaviの概要

WealthNaviをご存じない方もいるかと思いますので、簡単に概要をご紹介したいと思います(平成30年5月現在の情報を元にしています。WealthNaviのホームページはこちら。)。

既にご存じの方やご利用中の方は、読み飛ばしていただいて結構です。

1.1 AIによる自動売買

通常、投資信託を売買して資産運用をしたいと思った場合、自分で数千種類ある投資信託の中からどれを買うか選ばなければなりません。

しかし、投資初心者の方の場合、どれを買えば良いか判断に困り、結局、自分には投資信託を買うのはハードルが高いと断念してしまうことが多いと思います。

この点、WealthNaviでは、最初にいくつかの質問に答えて、自分のリスク許容度(5段階)を設定すれば、あとは、AIがそのリスク許容度に応じて、自動的に上場投資信託(ETF)を売買してくれます。

WealthNaviによると、同社では、ノーベル賞受賞者が提唱した金融アルゴリズムに基づく資産運用をしており、機関投資家が利用している世界水準の資産運用を誰もが利用できるとのことです。

仕事で忙しい方でも、お金を預けるだけで、資産運用をしてくれるわけですから、自分で投資信託を選んで買うよりも、ハードルはぐっと低いと思います。

1.2 最低投資金額

WealthNaviでは、最低投資金額が設けられています。

これは、保有する資産(日欧株、米株、新興国株、米債券、不動産、金など)の構成比率(ポートフォリオ)を最適化するために、最低限必要な投資金額のようです。

WealthNaviは、SBI証券や横浜銀行など色々な会社と提携してサービスを提供しており、どのサービスを利用するかによって、最低投資金額が変わるようですが、最小だと10万円、最大でも30万円から利用することができます(以前は、最低投資金額が100万円だったようですので、随分とハードルが下がりました。)。

1.3 手数料

WealthNaviの手数料は、資産の評価額の1%(年率、消費税別)です(但し、3000万円を超える部分は年0.5%)。

投資信託(ETF)や為替レートは、毎日変動する中で、この1%をどうやって計算するかというと、日々のETFの終値と為替レートで、毎日1日分の手数料を計算し、1か月分の手数料を合算して、翌月に預け金から引かれることになっています。

なお、WealthNaviでは、預けたお金全額をリスク資産に投資するわけではなく、手数料に充てるため、原則として2万円までの金額を現金として保有し、積立、配当金などにより現金保有額が2万円を超えた場合に、追加投資が実行されます。

1.4 投資対象

WealthNaviでは、日欧株、米国株、新興国株など、様々な資産クラスごとに、代表的なETF(上場投資信託)1銘柄を選んで、ポートフォリオ(保有するリスク資産のバランス)を構成しています。

ETFとは、特定の会社に投資する株式とは異なり、多くの人から集めたお金を使って多数の企業の株式や債券などに投資するものです。特定の会社の業績に左右されないので、リスクを分散した投資をすることができます。

1.5 為替の影響

WealthNaviでは、米国の上場投資信託(ETF)を購入対象にしているため、資産はドル建てになります。

つまり、利用者は円で入金しますが、その時の為替レートに従って、ドル建てでETFを購入することになるわけです。

資産の評価額についても、ドル建てと円建て(当日の為替レートで円換算した評価額)の両方で表示されます。

1.6 リバランス

WealthNaviでは、リスク許容度に応じて、リスクの高い資産(株式に投資するETFなど)の割合は全資産の何%程度、リスクの低い資産(債券に投資するETFなど)は全資産の何%程度、というように、自分の保有するリスク資産のバランス(ポートフォリオ)が最適になるよう自動的に売買してくれます。

リスク資産を買うだけでなく、売却もしてくれますので、例えば、ETFの時価の変動などにより、リスクの高い資産の占める割合が大きくなりすぎた場合には、そのリスク資産を売却して、別のリスク資産を購入し、保有する資産全体のポートフォリオが最適化するよう調整(リバランス)してくれます。

投資の格言では、「買いは技術、売りは芸術」と言われるように、リスク資産を購入するよりも売却する方が難しいので、AIが自動的に売却もしてくれるWealthNaviでは、どのタイミングで売却するかを悩まなくて済むわけです(リバランスは半年に1回行われます)。

1.7 運用停止

WealthNaviでは、口座から全額を出金することで、いつでも運用を止めることができます。

出金手数料は特にかからないので、試しにWealthNaviを始めてみたけど、自分には合わなかったという方でも、余計な費用を取られることなく止めることができます。

2.WealthNaviの運用成績

冒頭で紹介したとおり、私は、平成29年10月30日から初期投資額102万円+毎月1万円の積立(毎月8日に入金)を開始しました。リスク許容度は、一番高い「5」(5段階)に設定しています。

その結果、6か月経過後の平成30年5月11日現在で、1,090,000円の投資金額が、円建てで1,117,082円(+2.48%)、ドル建てで10,224.09ドル(+5.27%)となりました。

一応、順調に運用できているようですね。

3.指数連動投資信託の積立との比較

WealthNaviの運用成績だけ見ても、いまいちこのサービスを利用して良かったのか悪かったのか分かりにくいので、指数連動の投資信託を積み立てた結果と比べてみたいと思います。

今回、積立をした投資信託は、①ニッセイ日経225インデックスファンド(協会コード:29311041)と②ニッセイ外国株式インデックスファンド(協会コード:2931113C)というもので、①は日経平均に連動する投資信託で、②はMSCIコクサイという外国株式を対象とした代表的な指数に連動する投資信託です。それぞれ平成29年11月から毎月5万円ずつ積立購入しています(毎月15日積立)。

その結果、6か月経過後の平成30年5月11日現在で、30万円の投資金額が、①は、309,564.76円(+3.19%)に、②は、305,050.5円(+1.68%)になりました。①と②を合算すると614,615.27円(+2.43%)です。

WealthNaviの運用成績と比較すると、下のような表になります。

投資対象 運用成績(約6ヶ月間)
WealthNavi 円建て+2.48% ドル建て+5.27%
①ニッセイ日経225インデックスファンド +3.19%
②ニッセイ外国株式インデックスファンド +1.68%
①+② +2.43%

う~ん。微妙ですね。購入の仕方や積み立てている金額が違うので単純に比較できるわけではないですが、WealthNaviのドル建ての運用成績以外は、大した違いはないようです。

ドル建てと円建てでパフォーマンスが違うのは、為替の影響を受けたためです。WealthNaviを始めた平成29年10月30日時点では1ドル113.24円(WealthNaviが使用する為替レート)だったのが、平成30年5月11時点では、1ドル109.26円にまで円高になりました。1ドル113.24円で買ったETFを、1ドル109.26円で円換算することになるため、円建てだとパフォーマンスが落ちてしまうのです(より詳しい説明はWealthNaviのサイトのコラムをご覧下さい)。

4.WealthNaviを利用して注意が必要だと思ったこと

WealthNaviを始める前は、ロボアドバイザーに興味はあったものの、本当に手数料1%に見合うメリットがあるのか疑問でした。手数料1%と聞くと安く感じますが、100万円を投資した場合、手数料は年1万円ですから、結構な金額になります。これだけの手数料を払うぐらいなら、普通に投資信託を積立購入した方が良いのではないかと思っていました。

そこで、WealthNaviの開始と同時に、投資信託の積立購入も始めたわけですが、半年経過した時点では、どちらもパフォーマンスに大きな違いはありませんでした。

とりあえず、今すぐに運用を停止することはせず、もう少し様子を見ていこうと思っています。

但し、以下の点は、利用していて不満に思ったので、これからWealthNaviを始めようという方は注意が必要です。

4.1 リバランスのタイミングが遅い

WealthNaviでは、6か月に1回リバランスをしますが、もう少し頻度を上げて欲しいと思いました。株価が高騰し値上がりしている時にまで、6か月待たないとリバランスしてくれないというのは、どうなのかなと思います。

4.2 為替レートの影響が大きい

私のように、最初に大きな金額を入金し、後に積立で少額を入金していくというスタンスだと、最初の入金時から円高になると、それだけで大きな損失が発生します。現状、為替リスクが大きすぎる気がします。

もし、これからWealthNaviを始めるのであれば、一度にあまり大きな金額を入金せず、何回かに分けて入金する方が良いと思います。

4.3 現金の保有額が高い

WealthNaviでは、入金した金額のうち手数料の引き当てとして2万円までが現金として保有され、積立や分配金の入金により現金が2万円を超えた場合に、追加投資が実行されます。

そのため、毎月1万円を積み立てても、毎月ETFを購入するとは限りません

もし、時間分散のためにも毎月ETFを購入したい場合は、毎月2万円以上積み立てた方が良いと思います。

しかし、そもそも、手数料なんて100万円を投資しても毎月1000円以下なのですから、最大2万円もの現金を保有しておくことが過剰な気がしてなりません。

5.終わりに

WealthNaviを始めて半年が経過しましたが、少しは利益が出ています。ロボアドバイザーに興味がある方は、始めて損はないと思います。

但し、積立NISAをされていない方は、まずは、積立NISAから始められた方が良いと思います。積立NISAのメリットについては、こちらの記事に書きましたので、よろしければご覧ください。

<2020年8月追記>

WealthNaviを始めて2年9か月が経過した時点での運用成績を以下でまとめたので、ご参考までにご覧ください(クリックするとリンク先に飛びます)。

・WealthNavi(ウェルスナビ)の運用成績と積立投資との比較(2年9か月経過時点)

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